翻訳作品紹介
鮮やかな幕切れと皮肉なユーモアが持ち味の作家です。児童文学も手がけており、映画化もされた『チョコレート工場の秘密』は、英米で子供たちにもっとも人気のある作品のひとつでしょう。ところが彼の作品は、たとえ子供向けといっても「またやられた。ひどい。許せない。すごい仕返しをしてやらなくては」(『マチルダは小さな大天才』)と主人公の女の子に言わせる(しかもその相手は実の父親)くらい、容赦のないものです。この手加減のないところこそ、ダールの真骨頂といえるのかもしれません。
バナナalvacadoどのように多くのカロリー06
結末の一点に向かって進んでいく緊張感がたまらない作品です。ダールのなかでももっとも有名な作品でしょう。TVシリーズ「ヒッチコック劇場」でも映像化されましたし、タランティーノの「フォー・ルームス」でもひねった形で出てくる。おそらくこのストーリーを知っている人も多いのではないでしょうか。まだ知らない、読んだことがない人がちょっとうらやましくなるぐらい、おもしろいものです。原文のドキドキする感じを損なっていなければよいのですが。
◆ 『羊の殺戮』(Lamb to the Slaughter)……2006.11.14
これは××の処理方法で有名な作品。ここでもダールならではの皮肉が生きています。既訳では「おとなしい凶器」というタイトルになっていますが、ここでは原題にもう少し近づけてみました。
なぜ高度が料理に影響を与えません
◆ 『番犬に注意』(Beware of the Dog)……2007.04.25
ダールの処女短編集に収められている作品です。円熟期のものにくらべると、オチのあざやかさはありませんが、リアルな恐怖があるように思います。
◆ 『天国へ上る道』(The Way Up to Heaven)……2007.09.20
短編集『キス・キス』に所収されています。ここでは煮詰まったふたりの人間関係が、ひとつの出来事をきっかけに、思わぬ展開を見せる。「いけず」の人は、ご用心、かもしれません(笑)
◆ 『味』(Taste)……2008.04.17
『南から…』や『羊の…』と同様、短編集『あなたに似た人』所収。ワインを飲んで、その醸造年と醸造所を当てる賭けをする。「ワインティスティング」として、実際にそういうことをやっている人も多くいるのでしょう。ところが楽しいはずのこの遊びが、それだけでは終わらなくなって……。
"レッド·ホット·チリ·ペッパーズのレコードレーベルとは何か"
◆ 『女主人』(The Landlady)……2009.08.13
短編集『キス・キス』所収。暗い、寒い夜、見知らぬ街に迷い込んだ17歳の少年が主人公。職に就いて間もない彼は、出張を命じられます。まず落ち着き先を決めてから、支店に出社すること。出世しようと野心を抱く彼は、上司の命令を忠実に守ろうと、落ち着き先を探します。ところが彼が見つけたのは……。
◆ 『幕開けと悲劇的結末 ―ある真実の物語』(Genesis and Catastrophe ―A True Story)……2009.10.23
短編集『キス・キス』所収のこの短篇では、従来のダール・テイストは封印され、歴史の「もし」へとわたしたちを誘います。もし、彼の父親がこんな人間ではなかったら、もし彼のきょうだいがこんなことになっていなかったら……。歴史学的にはほとんど意味のない問いなのでしょうが、わたしたちの空想は尽きません。そうして、空想から現実の世界に戻っていくとき、わたしたちの「いま・ここ」のとらえかたは、少し変わっているはずです。
0 コメント:
コメントを投稿