2012年3月30日金曜日

本より - 制約のリング


 
本『ドラッカー最後の言葉』

   ピーター・F・ドラッカー
         窪田恭子=訳


 
---
 
 「経営」の目的は「成果」
  ↓
 成果を生み出す業務行為こそ、
 経営そのもの。
  ↓
 成果 は 何か?
 強み は 何か?
 すべきこと は 何か?

 天才に頼れない時代
  ↓
 組織が激増した現代では、
 膨大な数の経営者を必要としている。
 「カリスマ経営者」でなく、
 「経営能力のある普通の人間」を、
 多く育てることが大切。
  ↓
 "経営とは組織の しもべ"
 そのことを忘れた経営はすべて誤った経営。
  ↓
 誤った経営は組織を破壊してしまう。
  ↓
 いかなる地位であれ、
 経営者もまた組織の しもべ。
 それを失念した瞬間、
 経営者は自ら組織に害を及ぼす存在へ身を落とす。

 リーダーの習慣の一つ目
  ↓
 「何をしたいか」ではなく、
 「何をすべきか」を問う。
  ↓
 目的は何で、成果は何で、そのために何をすべきか?

 リーダーの習慣の二つ目
  ↓
 「何をすべきか」の中の、
 どれが「自分の仕事なのか」を問う。
  ↓
 なすべきことのうち、
 「何が自分に適しているか」(得手は何?)
  あるいは、
 「何が自分に適していないか」(不得手は何?)
 を突き詰める作業を行う。
  ↓
 自分の 得手、不得手 を熟知する。

 リーダーの習慣の三つ目
  ↓
 "不得手なことは、けっして自ら手がけない"
 を徹底する。
  ↓
 そして重要なことに、
 得手、不得手 が人生を通して 変化 することがある。

 最優先すべきは株主ではない
  ↓
 株主資本主義:株主の利益の最大化を考える。
  ↓
 株主の利益を最大化を考え始めたら、
 事業が うまく展開できない。
  ↓
 優先されるべき判断基準は、
 「顧客にとって有益か無益か」

 リーダーの責任:各人の 情報 の行き渡りを 把握
  ↓
 組織を効率的に運営できるリーダーは、
 コミュニケーションを重要視する。
  ↓
 自らの任務を遂行するために、
 ・誰からの、
 ・どんな情報が、
 ・いつ必要かを、
 把握している。
  ↓
 また、
 他人に任せた業務に関し、
 ・どの情報が、
 ・誰に、
 ・いつ必要かを、
 把握している。
  ↓
 そして、
 共に仕事する人々全員が、
 そのことを理解しているかどうかの、
 確認も怠らない。

 将来を予測し、すべきことの優先順位を決める
  ↓
 "期待をし、実行し、確認する"
 この一連の 繰り返し から、
 初めて、将来を見通す力が養われてくる。
  ↓
 予測可能な将来とは、
 せいぜい2年先といったところ。
  ↓
 「この限られた期間で自分に できる仕事は何か?」
 「何に集中すべきか?」
 「それは本当に重要か?」
 「それは部下や上司、同僚に本当に理解されているか?」
 を確認。
  ↓
 なすべきことの中で何が一番 重要か、
 優先順位 を 考え抜く姿勢を貫きます。

 適材適所こそ、最も肝要
  ↓
 決断した通りにことが運ぶ可能性は、
 せいぜい50%。
  ↓
 だからこそ、
 リーダーは、注意深く人の話に耳を傾け、
 チャンス と リスク の バランス を考え抜き、
 人選(適材適所)にできる限り時間を割く必要がある。

 経営は権力のためではない
  ↓
 勘違いされやすいので、強調します。
  ↓
 経営とは「権力」のためでなく、
 経営とは「成果」を求めて行うものです。
 

 日本の課題
  ↓
 日本が直面しているのは、
 危機ではなく、
 時代の変わり目(移行期)です。
  ↓
 日本が いますぐ取り組まねばならない課題。
  ↓
 それは、時代が変わったことを認め、
 その変化に対応していくための 意識改革 です。


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 日本が直面する 一つ目 の変化: "労働市場の変化"
  ↓
 労働市場の変化。2つの側面がある。
  ↓
 「労働の質」:労働集約型から頭脳集約型へ
    ↓
   かつては、バブル期の日本企業のように、
   資産を「保有」することを重視した。
    ↓
   今の国際企業が重要視しているのは、
   「保有」でなく「戦略」
    ↓
   効率的に経営できるか 戦略 を練る。
   計画、設計、デザイン、マーケティング、
   研究開発に知恵を絞り、
   自ら手がける必要ないものを選別、アウトソーシング。
    ↓
   すなわち「戦略」を管理する経営構造の確立こそ、
   知識労働時代の最も重要な課題。
    ↓
   まず、現代の「知識」が、
   高度に専門化・細分化していることを把握しておくこと。
    ↓
   現代社会の問題として、
   名声や報酬が、
   経営トップ に のみ向けられていること がある。
    ↓
   知識労働者のための昇進制度を整備する必要がある。
    ↓
   そして、多数の知識労働者を チーム として まとめ、
   彼らの生産性を高めることが必要不可欠。
   経営トップは その管理・監督する能力が求められる。
    ↓
   個々の知識労働者の持つ専門知識に精通し、
   彼らの、目となり、耳となり、口となることが、
   経営トップ に欠かせない能力として問われる時代。
    ↓
   また、常に、優秀な人材(高度な知識労働者)を、
   引きつける「何か」を持ち続けることが、
   この競争において、企業に求められる。
    ↓
   日本の伝統的な雇用形態:年功序列 は もはや障害。
   スキルは情報の変化に応じて 常に形を変える。
   誰も、絶えざる努力で自らのスキルを、
   高めていかなければならない。
    ↓
   もうひとつの日本の伝統:終身雇用制 は、
   むしろ残したほうがいいように思う。
   日本人には拠り所となるコミュニティが必要不可欠。
    ↓
   ただし、何事にも、「継続と変化のバランス」が重要。
   終身雇用制を保つ一方で、
   人材の流動性を確保する必要がある。
 
 「労働を担う世代」:労働人口が高年齢者にシフト。
    ↓
   高齢化の進行で、若い労働者が激減し、
   定年の延長を余儀なくされ、
   今後の20年間で74歳まで上がると、
   私は予測している。
    ↓
   不足する労働人口を補うために、
   日本は移民を受け入れざるを得なくなるだろう。
    ↓
   この移民の問題は、
   大きな政治的課題となっていくでしょう。


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 日本が直面する 二つ目 の変化: "保護主義の無意味化"
  ↓
 今、製造業(農業など)を守る などの、
 "保護主義"が通用しなくなった。
  ↓
 情報革命(グローバル化した情報)と、
 保護主義 はお互いに相いれないもの。
  ↓
 "海外の方が安いのなら そちらで購入する"
 へいってしまう。
  ↓
 保護の前提となる「情報の遮断」は もはや不可能。
  ↓
 日本で最も保護されてきた産業の代表は銀行。
  ↓
 時代は変わり、
 金融保護政策の有用性は完全に失われた。
  ↓
 企業活動がグローバル化し、
 一国内だけの金融が成り立たなくなった、今、
 保護された銀行に担える役目など存在しない。
  ↓
 "保護主義" とは、
 「変化への拒絶」
  ↓
 新しい時代への入り口で、
 足かせとなるのは自明の理といえる。
  ↓
 同様に、旧来の因習を引きずり、
 日本の変革を阻害しているのが
 "官僚システム"
  ↓
 「日本の官僚制度はどこから来たのか?」
 そのことを問い直せば、
 自ずと 改革の答え は見えてくるはず。
  ↓
 日本の "官僚システム" は、
 フランスの制度をモデルに構築された。
  ↓
 その最大の誤りは、
 学歴を過度に重視している点。
  ↓
 日本は、
 人材の供給源を一部の有名大学のみに、
 頼ってしまった。
  ↓
 しかも、
 学校時代や入庁時の試験成績が、
 後々の昇進にまで大いにものをいう、
 非常に硬直化したシステムとなっている。
  ↓
 省庁間の壁が厚く、
 互いに敵視し合うために、
 業務が非効率的な点も、
 改善の必要がある。
  ↓
 十分に機能する官僚を育てるには、
 最初の数年間に、
 各省庁の仕事を代わる代わる経験させることが重要になる。
 これが、効率の良い "官僚システム" を作る 一助となるに、
 違いありません。

 今の 世界経済 が 持つ 3つの顔
  ↓
 "グローバル経済"
 "トランスナショナル経済"
 "財・サービス・人からなる経済"

 グローバル経済
  ↓
 真に グローバル化 をなし得たものは、
 「情報」のみ。
  ↓
 鉄道、自動車、航空網、
 「距離」をコントロールすることが、
 少しずつ可能となってきた。
  ↓
 「距離」を "ゼロ" にしたのが、
 インターネットの登場。
 それは 衝撃的。
 ↓
 "グローバリゼーション" = "情報"
 を 十分 理解 する必要がある。

 トランスナショナル経済
  ↓
 つまり "国境を越えた経済"。
  ↓
 典型例が「通貨」
  ↓
 「通貨」そのものは、
 グローバル化されていないが、
  ↓
 各国の中央銀行が協調行動を、
 取ることから分かるように、
 国境を越えた政策のみが、
 有効な時代。

 台頭する2つの国
  ↓
 今、
 中国 は 世界経済 における「主要製造国家」であり、
 インド は 世界 に 冠たる「知識国家」になりつつある。
  ↓
 インドは欧米に次ぐ 世界第二の英語圏であり、
 単独国家としては世界最大の英語を話す集団を有している。
  ↓
 インド では、おそらくは2億人近い人たちが、
 日常の主要言語として英語を話している。
  ↓
 インド は6歳になると学校へ通い、
 すべての教科を英語によって授業される。
  ↓
 英語を駆使することで、
 彼らは、容易に国境を飛び越えていく。
  ↓
 グローバル化した情報へのアクセスをスムーズにする。
 彼らの英語力は、
 今後の世界経済において、
 非常に大きな武器になり得る。
  ↓
 加えて、インドの人たちは、
 情報技術にも精通。
  ↓
 インド人の英語力と情報技術。
 そして、極めて ローコスト な 労働力。
  ↓
 中国もまた、
 ローコスト な労働力を 大量 に抱え、
 13億人を数える巨大な人口をもって、
 経済大国への道を ひた走っている。
  ↓
 生産者として、消費者として、
 やがて、アメリカを凌駕する存在となるだろう。


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 3世紀ぶりの大変化
  ↓
 インド や 中国 の台頭、、、
 EUなど各経済ブロックの結びつきの強固、、、
  ↓
 西洋の価値観は 過去の遺物 へ、、、
  ↓
 18世紀以来の根本的な世界の変化。
  ↓
 求められるのは、
 異なる価値観が共存する世界が来ていることを、
 理解すること。
  ↓
 超大国(アメリカ)が持つ「権力」ではなく、
 グローバル化した「情報」によって、
 世界が強固に結びつく時代が来る。
  ↓
 それは、誰も理解していない世界。
  ↓
 この転換期は、
 今後30年間は続くと見ている。
  ↓
 私たちは非常に困難で苦しい時期を、
 過ごすことに なるでしょう。

 重責を担う2つの国
  ↓
 新しい秩序へと向かう、
 混迷した世界の中で、
 重要な役割を担う2つの国は、
 イギリス と 日本。
  ↓
 異文化を結ぶ架け橋に。
  ↓
 イギリス は、
 大西洋をはさんで、
 ヨーロッパ と アメリカを結ぶ「橋」になることが求められる。
  ↓
 日本 は、
 太平洋をはさんで、
 アジア と アメリカを結ぶ「橋」になることが求められる。
  ↓
 異なる価値観が共存していく世界では、
 政治的にも、
 経済的にも、
 バランスを取っていく必要がある。
  ↓
 イギリス と 日本 は、
 その 舵取り を 果たしていく、
 責任 を背負っている。
  ↓
 日本 は、
 西洋中心主義から、
 西洋と東洋の、
 バランス を 上手に取る方向へと、
 うまく シフト して欲しいと 願う ばかり。
  ↓
 "a new era"
 「新しい時代」に私たちは生きている。
  ↓
 その行く末は明らかではなく、
 次代の輪郭が はっきりしてくるのを、
 じっくり待って見極める必要がある。
  ↓
 重要なのは「時代の変わり目」に、
 今、自分がいるということを、
 明確に認識できていること。
 それを、肝に銘じること。

 日本が直面している問題
  ↓
 経済の停滞ではない。
  ↓
 問題は、
 世界経済(情報経済)の 進展 の中で、
 ひどく立ち遅れてしまっている点。
  ↓
 日本 は
 情報経済で立ち遅れた国であると、
 しっかり認識しなければいけない。
  ↓
 第二次世界大戦後に 日本 は、
 歴史上に まれに見る発展をしたが、
 その結果、
 日本は非常に ハイコスト な 国となった。
  ↓
 ハイコスト な 日本 が 生きていくためには、
 絶えざる イノベーション と、
 それによって 生みだされる新しい価値を、
 輸出し続けていくことが要求される。
  ↓
 これからの日本に最も重要となるのは、
 情報技術における イノベーション を、
 いかに達成していくかを学ぶこと。
  ↓
 日本 には情報技術に関する 潜在能力 はある。
 しかし、いまだ成果を挙げることができずにいる。
  ↓
 情報技術の分野で、
 イノベートする術を学び、
 進展する情報経済の中で、
 リーダーとならなければ、
 日本 が生き残る道はない。
  ↓
 情報経済という、
 新しい世界経済の中で、
 日本 は過去最大の難関に直面することになる。
  ↓
 立ちはだかる相手は、
 インド と 中国。
  ↓
 インドの 英語力 と 情報技術。ローコスト労働力。
 中国 の 世界の工場。ローコスト労働力。
  ↓
 高コスト体質 が 慢性化 した 日本 は、
 常に イノベーション を追求し、
 新しい価値を生み出すことでしか、
 日本は生き残れない。

 "機会重視型"企業 が 勝つ
  ↓
 日本 の ものの考え方、
 "問題重視型"
 の思考様式に囚われていて、
  ↓
 "機会重視型"の、
 発想を持っていないことが危険。
  ↓
 今、日本で好調を維持している企業は、
 例外なく"機会重視型"企業。
  ↓
 問題の放置は許されないが、
 問題のみに目を向ける姿勢は、
 過去の悪しき習慣を復活させる行為と、
 等しいことを理解しなければならない。


 変化の陰に 好機あり
  ↓
 私たちは 今 転換期 に 生きている。
 多くの人々は、そのことを理解していない。
  ↓
 変化は みなが 考える常識に反する形で起こるため、
 変化は 予測できず、理解することも困難。
  ↓
 しかし、変化した現実に考え方を、
 すり合わせていく過程にこそ、
 好機は訪れる。
  ↓
 「現実の変化」の2つの特徴。
  ↓
 ・前回とは、けっして同じにならないこと。
 ・机上で考える変化より先に現れること。
  ↓
 これを理解しなければ、
 変化を危機と見違ってしまう。
  ↓
 日本 で起こっているのは、
 危機 でなく 変化。

 個人のイノベーション
  ↓
 時代 は 移行期。
  ↓
 「新しい時代の中で、私たちはどう生きていけばよいか?」
  ↓
 一人一人に 強く 要求されるのが、
 "個人のイノベーション"。
  ↓
 知識社会 の 中心 の「知識」
 ・高度に専門化、細分化。
 ・きわめて流動性の高いもの。
  ↓
 知識労働者 として 要求 される スキル は、
 「情報」の変化に応じ 絶えず形を変える。
  ↓
 つまり、スキル・アップ を、
 常に心がけることで、
 自らの未来を切り拓いていく。
 今、それが、一人一人に求められている。
  ↓
 絶えざる スキル・アップ を、
 達成するために重要なのは、
  ↓
 自分の 強み を 把握 すること。
  ↓
 自分の得意を知り、
 磨きをかけていく。
  ↓
 これが イノベーション の 要諦 であり、
 成果 を挙げ続けていくための、
 唯一の方法。

 弱点と長所
  ↓
 弱点の克服は二の次でよい。
  ↓
 弱み を 無くすことは、限界のあることで、
 結局は時間の無駄となることが多い。
  ↓
 まず、長所を探し、確立し、発展させる。
  ↓
 これをキャリアのできるだけ早い段階から、
 始めることが最も重要。
  ↓
 ここに力点を置いた、
 キャリア開発プログラム を 開発 することが、
 今後の大きな課題となる。
  ↓
 どう 長所 を 見出すか?
  ↓
 "何をすべきか"の目標を持って、
 「何を うまくこなしてきたか?」(長所)
 「うまくできなかったことはなにか?」(弱点)
 を追求していけば、
 自ずと、自らの強みに行き当たるでしょう。
  ↓
 自ら イノベートしていく 第一歩 は、
 弱み(不得手) を知り、
 それは 決して すべきでないことをだと知ること。

 視野を広げよ!
  ↓
 「今、生涯にわたる継続的学習が不可欠」
 という事実を受け入れ、
  ↓
 自己責任を認識し、
  ↓
 「今、何を捨て、何を選択し、
  自己を高めるために何を学ぶべきか」
  ↓
 を絶えず問い続けなくてはならない。
  ↓
 これは、今、すべての人が身をもって知るべき事実。
  ↓
 危惧されるのは、
 日本の企業社会には、
 とかく個人個人を組織人間にする 傾向 がある 点。
  ↓
 組織に埋没しない人材を育てるために、
 早い時期から、
 小さくとも独立した 権限 を 持たせるべき。
  ↓
 組織階層の中で、
 確固とした権限を与え、
 決断を下させ、
 個人の責任の範囲でタスクをこなせる。
 これを繰り返して行うことで、
 その人間の強みを引き出し、
 イノベーション につなげることができる。
  ↓
 また、20代から遅くとも、30代前半のうち、
 2〜3年は、
 日本を離れ、
 他国で働く経験を積み、
 視野を大いに広げることを、
 おススメします。


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リンク
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