2012年2月3日金曜日

インフルエンザ - 明野循環器内科クリニック

インフルエンザQ&A

【インフルエンザ総論】 
 
インフルエンザと普通の風邪はどう違うのですか?
風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れます。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を併発する等、重症になることがあります。

【インフルエンザの予防・治療について】

Q.1 ; インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか?
インフルエンザを予防する方法としては、以下があげられます。
1) 流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、かかった場合の重症化防止に有効と報告されており、わが国でも年々ワクチン接種をする方が増加しています。
2) 外出後の手洗い等
手洗いは手指など体に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず感染予防の基本です。また、外出後の手洗い、うがいは一般的な感染症の予防のためにもおすすめします。
3) 適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
4) 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
5) 人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、疲労気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出をして人混みに入る可能性がある場合には、ある程度の飛沫等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することはひとつの防御策と考えられます。ただし、人混みに入る時間は極力短時間にしましょう。
※不織布製マスクとは
不織布とは「織っていない布」という意味です。繊維あるいは糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させて布にしたもので、さまざまな用途で用いられています。市販されている家庭用マスクの約97%が不織布製マスクです。

Q.2; インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?
具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。
安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
水分を十分に補給しましょう。お茶やスープなど飲みたいもので結構です。
咳・くしゃみなどの症状のある時は、周りの方へうつさないために、不織布製マスクを着用しましょう。
人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場などに行かないようにしましょう。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと徘徊する等の異常行動を起こすおそれがあるので、自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。

Q.3 : インフルエンザの治療薬にはどのようなものがありますか?
インフルエンザに対する治療薬としては、下記の抗インフルエンザウイルス薬があります。
オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)
     →内服薬で5日間内服します。
ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)
     →吸入薬です。
      一回2吸入 一日2回 5日間吸入です。
アマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル)
     →内服薬です。
      原則的にはA型のみに有効とされております。
ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)
     →点滴薬です。
      原則的には高齢者、合併症のある方、内服、吸入が出来ない方が対象です。
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル) 
     →吸入薬です。
      10才以上は単回の4吸入(40mg 2容器) です。
      10才未満は単回の2吸入(20mg 1容器) です。

      
抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用には用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。

Q.4: タミフル服用後に、異常行動による転落死が起きているなどの報道がなされていましたが、現在はどのような対応が行われているのですか?
タミフル服用後に患者が転落死した事例等が報告されたことを受けて、平成19年3月には、予防的な安全対策として、添付文書(薬に添付されている説明文書)を改訂し、下記の注意を添付文書の警告欄に記載し、「緊急安全性情報」を医療機関に配布しました。
(1)
10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
(2)
小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。

その後の検討で インフルエンザ自体による異常行動の可能性が疑われておりますが、タミフルと異常行動の因果関係が証明されるまでに至っておらず、予防的処置は引き続きとられております。

Q.5: タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合にも異常行動(急に走り出す、ウロウロする等)は起こるのでしょうか? 医薬品を服用しない場合には起こらないのでしょうか?
抗インフルエンザウイルス薬として、タミフルの他にリレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に走り出すなどの異常行動の発生が認められています。
また、インフルエンザ罹患時には、解熱剤のアセトアミノフェンを服用した場合や医薬品を服用しない場合でも、同様の異常行動が現れることが報告されていますので、インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、突然走り出して2階から転落するなど、危険なことにならないよう医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。
(異常な行動の例)
突然立ち上がって部屋から出ようとする。
興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。
興奮して窓を開けてベランダに出ようとする。
自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。
人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。
変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。
突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。

Q.6: 抗菌薬はインフルエンザに効果がありますか?
インフルエンザウイルスに抗菌薬は効きませんが、特にご高齢の方や体の弱っている方は、インフルエンザにかかることにより細菌にも感染しやすくなっています。このため、細菌にもウイルスにも感染する(混合感染)ことによって起こる肺炎、気管支炎などの合併症に対する治療として、抗菌薬等が使用されることはあります。

Q.7: インフルエンザにかかったら、どのくらいの期間外出を控えればよいのでしょうか?
一般的に、インフルエンザ発症前と発症してから3~7日間はウイルスを排出するといわれています。そのためにウイルスを排出している間は、外出を控える必要があります。 排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳等の症状が続いている場合には、不織布製マスクをするなど、周囲への配慮が望まれます。
参考までに、現在、学校保健安全法では「解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています(ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません)。

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