2012年1月19日木曜日

2955.風邪はうつさないことが最良かつ最低限のマナー - 谷 好通のプレジデント・コラム

風邪を引く人が急速に多くなっている。
風邪やインフルエンザの原因となるウィルスや菌は乾燥した空気の中で活発になり、
記録的に雨が降らない今年の冬、乾燥しきった空気で
特に大流行の危険が大きいと言っていた。

西高東低の冬の気圧配置がはっきりしていて、
湿った空気が日本海側から大量に流れ込むが、
日本列島を縦断する1,000m以上の山にぶつかって、
断熱膨張し、その湿りを大量の雪となって降らせて一気に空気から水分が抜ける。
すると太平洋側には、水分が抜けた後のカラッカラに乾燥した空気が流れてくる。
テレビの話では、
今の太平洋側の乾燥した空気は、
サハラ砂漠の空気よりも乾いているのだそうだ。

インフルエンザウィルスが活発になるばかりではなく、
今は乾燥した空気に喉をやられ寒さも手伝って体調を崩し、
ウィルスに感染していなくても、
喉を傷めている人も多い。

私どもの会社でも、風邪で休んでいる人が増えている。
昨年もそうであったが
「新年会」が一つのきっかけになっているのではないだろうか。
二百人近い若者が一堂に会して、
閉じられた空間で、酒を飲み、大騒ぎをするのだから、
少しでも病原菌やウィルスを持った人が混じっていれば、
あっという間に広がってしまうことは容易に想像がつく。

私は去年の新年会で、
三日後に新型インフルエンザを発病したレスラーの小杉君に、
完全に酔っ払って、ふざけて"口にキス"をして、
二十数年ぶりにインフルエンザにかかった。いわゆる濃厚感染である。
あの時、小杉君にはまだ何の症状もなかったので仕方ないのだが、バカなことをした。

だから、今年は絶対に同じ轍を踏むまいと自重していた。
濃厚感染を避けるだけでなく、
風邪の症状が出ている人にはできるだけ近づかなかった。
冷たいようだが、後日から続く予定に穴を開けるわけには絶対に行かないからだ。

それでも新年会の翌日から少し風邪っぽい気がしたが、
インフルエンザの予防注射は年末に打っているし、
新年会が終わってからのこの四日間、
熱も出ていない。喉も痛くない。咳も出ていない。頭もまったく痛くない。
朝のシャワーも浴びたが変化はない。
ただ、鼻水が少し出るようになっていただけ。
それでも病院に行き診てもらったら、
風邪ではないが、アレルギー性鼻炎かもしれないと言われた。
鼻の粘膜が乾燥と冷気で過敏になっていて、
ちょっとした家屋のホコリで鼻水が出るのだそうだ。
いずれにしてもほんの少しだけだったので、薬も出なかった。

しかし、インフルエンザをうつしてしまう人も、
ひょっとしたら風邪かもしれないが、まだ大丈夫だから・・・だったのだろう。

新年会は楽しいし、みんなと一堂に会える年に一度の機会だ。
少し不安があっても出たい心情は分かる。
しかし、自分に少しでもインフルエンザの不安があるのならば、
勇気を持って欠席すべきだろう。
ひょっとしてインフルエンザをいっぺんにたくさんの人に感染させてしまったら、
どれだけ多くの迷惑を発生するかわからないのだから。
マスクは風邪をうつされないようにする防御のための有効な手段であっても、
マスクで風邪をうつさないことはあまりできない。
話をしたり、何かもの食べたり飲んだりする時、ついはずしてしまうからだ。

複数の人が共同で仕事をする場で、
マスクもせずにゴホンゴホンと咳をしながら仕事をする人がいるが、
これは、完全にマナー違反であり、非常識であると言わざるを得ない。
自分の風邪がひどくなるのは勝手だが、
他人にインフルエンザをうつしてもいい理由は何もない。
仲間にインフルエンザをうつして、
チームの仕事にマイナスの影響を与えるのは迷惑でしかない。

自分がインフルエンザの可能性があるかもしれないと思ったら、
とっとと自分を家族や仲間達から隔離してしまうことが一番。
つまり、インフルエンザかなと思ったらとりあえず仕事を休み、
休養して直すべきは直し、体調を取り戻してから仕事をすればいい。

インフルエンザ、あるいは風邪を引いて早めに仕事を休むのは、
何も恥ずべきことではなく、みんなのことを思いやった正当な行為なのである。

しかし、
仕事の予定を何週間もあとまで綿密にびっしりと入れているような
いわゆる仕事ができる者は、
仕事に対する責任感から外出後の手洗いとうがいを欠かさないというし、
新幹線や飛行機に乗る時はマスクを必ず掛けるという。
大勢の乗客の中には、
口を手で押さえることもなく平気で大きなクシャミをする非常識な人もいるから。

苦労して造ったアポイントを風邪なんかで絶対に潰すことは出来ないし、
アポイントを下さった相手先に予定に穴を開けてご迷惑をかける事は出来ない。
仕事が出来る人間は自分に厳しいものだ。
それに比べると
私なんかはまだぜんぜん甘いと反省させられることもしばしばだ。

風邪は心身を大きく消耗する。
仕事はすべてがチームワークで成されるものだから、
風邪は、ひょっとしてインフルエンザかもしれないから、
うつさないことが最良かつ最低限のマナー。

サハラ砂漠よりも乾燥している今の空気の中で
風邪からチームを守るには、
自分が風邪を引いたらチームの仲間にうつさないことに尽きる。
それは誰に対してでも同じ事だろう。

ただ、今思うのは、
私の鼻が水っぽくなったのは、
新年会の翌日、思いつきで、また頭を坊主にまで短くしてしまったからかもしれない。
寒空に頭から冷えるのは、けっこう寒いものです。
そこで重宝するのが「マスク」。
鼻水か少し出ていたのでマスクをしたら、
乾燥した空気に適度な息の湿り気を与えてくれて息が楽になるし、
なにしろ、顔がホカホカして暖かい。
マスクとは、病原菌やウィルスを吸い込まないように防御する役目だけでなく、
ものすごく便利かつ有効でもっとも安価な"暖房具"でもあるようです。

猫も風邪を引くのかな。
寒い冬、暖かい空気は上に上がるので猫は天井に近い場所にいたがる。

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